商品デザイナー インタビュー

企画部デザインチーム所属(2011年入社)

今回は丸辰のプライベートブランド「CAMPS」を立ち上げました、企画部デザインチームの商品開発担当者にお話を伺います。
今や自社商品全体を引っ張る存在となりましたブランド展開、当初はどういういきさつや狙いがあったのでしょうか?

CAMPSについて、まず大前提として世間のアウトドアブームを受けてというのがきっかけですね。僕自身もアウトドアが好きというのもありますけど。
ただやるとしたら単なる寄せ集めのラインナップではなく、丸辰の強みである企画力を生かした、デザイン性の高いプライベートブランドとして確立するべきだなとは思いました。
「商品デザイナーインタビュー」イメージ06
過去にも丸辰は、アウトドアカテゴリーでプライベートブランドを立ち上げていたことがあるんです。ただその過去データを分析していた中で、このブランド展開は良くも悪くもキャンプが本当に好きな人のためのラインナップになっていた。少し行き過ぎた所があるなと思っていました。

丸辰は「販促品」の会社、というのはやっぱり大前提なんです。キャンプを好きな人がこれがイイ、スゴイと言ったところで、結局キャンプやらない人は使わないわけで。大きめの公園でたまにレジャーするくらいの人が、貰った次の週末にちょっと使ってみようか、なんて思うくらいの気軽さがないと販促品として喜ばれることはできないんじゃないかと。

CAMPSブランドは理論的に立ち上げたものなんですね。

どっちかというと理論的ですね。
まずは過去のブランド展開でのラインナップ、そして今取り扱っているアウトドアの自社商品、あと競合他社の商品も全部リストアップしました。全部で100商品はいかないくらいですけど、価格・掲載期間・売上と全部統計とって、ここを抑えておけばブランドとして長く続けられる、と考えながら初回ラインナップを絞っていきました。

今、巷で人気だからとかそういう感覚だけでやったらダメだと思って、まず最初に出す商品はデータに基づいた、確実に売れる可能性が高い商品を厳選してます。
あとはこの商品群の半年での売上概算も自分なりに出して、この売上なら何年かは掲載が続くだろうなという考えで進めています。

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そこから並行してロゴの制作も始めてます。
ロゴを考えるのが楽しかったのもありますが、最終的に5案くらいに絞りました。ネーミングも色々出しましたが、これもやっぱり販促品なので、ブランド名で「これはアウトドア商品だね」って伝わるように「CAMPS(キャンプス)」というネーミングに落ち着きました。最初は市販のアウトドアブランドみたいにカッコよさも意識したんですけど、いやこれ伝わらないな、もっとキャッチーな名前のほうがいいな、と色々考えてました。
パッケージデザインと商品カラーはブランド内で統一する、というイメージもこのタイミングで想定してます。これが丸辰のCAMPSだねって印象付けられるように。
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色の話ですとロゴの“赤”が特徴的ですが、このイメージも最初から?

最初にCAMPSのブランドカラーとして頭に思い浮かんでいたのが赤とベージュです。緑や青は最初から候補になかったですね。その色味で売れているブランドイメージの想像ができなくて。やっぱり全く新しいイメージで出しても売れないと思うんです。
ロゴの要素もテントと山をシンボルにしておけば、皆さんが使いやすいイメージを持ってもらえるのかなと考えました。この辺は全て理屈だけじゃなくて感覚的なところもありますけど。

商品のカラーリングも同じようなタイミングで?

商品色はまずチェアに色を当て込むことから始めています。商品ラインナップの軸はチェアだったんですよ。市場にあるチェアの色を、それこそブランド商品からホームセンターで販売しているものまで一通り把握して、これが一番スタンダードだなと思ったのがこの3色(オレンジ・グリーン・ベージュ)です。その中でもオレンジをメインに扱っておくとフラッグシップとして紙面が映えるかなと。
そう思うと、今ではブランド全体を引っ張る役割の商品がチェアじゃないのは意外ですね。一番勢いのある商品はペットボトルホルダーかな?想定以上に好評でありがたいですね、この商品は型から起こしたオリジナル商品なので。

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様々な形状の500mlペットボトルに対応しているのが、この商品の重要な特徴ですね。

それもあるのですが、一番重要なポイントって実はハンドルが付いていることなんです。
アウトドアって500mlペットボトルを持っていかないんですよ、普通は2Lなので。でもこれは販促品としての企画なので一般的な500ml用で考えてます。そしてこの商品を使うシーンを思い浮かべると、車に載せるとかではなく自分で持つというのが基本、なのでハンドルはまず付けるべきだと考えました。

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使う人の目線に立って商品開発をしてるんですね。

もちろんです。それで500mlペットボトルを入れて使う商品ですと世に出して、さっきコンビニで買ったペットボトルが入りませんでした、なんてことはダメだろうと思いまして。市販品でもあるんですよ、形状によっては入りませんみたいな商品が。
それでどんなペットボトルの形状でも使えるようにしたいと考えて。開発的にはまあまあ苦労しましたね。まず販売されているペットボトルを何種類も買って、類似のボトルホルダーも全部買って、入る入らないを確かめていました。
でも今は500mlだけじゃなくて、350mlや700mlもあるじゃないですか。今後それらのサイズが当たり前になるかもしれないので、頭の中ではまた企画が進んでますね。

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あとボトル繋がりだと、真空保冷温ボトルも思い入れがあります。フタ形状がオリジナルというのもありますが、本体の塗装もこだわってラバー塗装にしてるんです。塗装を変えると当然価格にも反映されるので、CAMPSのステンレスボトルは他よりも多少価格帯が上がるんですけど、それでもちゃんと売れてるんですよね。割と価格重視になりがちな販促品でも、こだわりをもって完成させればちゃんと売れていくんだって証明できたのは良かったですね。
あと余談ですがCAMPSのボトル、保冷温効果が他より実はかなり高めなんですよ。こういうの結構嬉しいです。

プライベートでもアウトドアのプロダクトはお好きですか?

好きですね、アウトドア系のブランド自体も好きですし。単純にプロダクトの見た目がカッコいいとかだけではなくて、企業ポリシーとかそういうプロダクトの背景込みで選んだりしてます。製造元もちゃんと確認したりとか。

プライベートと商品企画はやっぱり連動しますか?

それはかなりしますね。でもアウトドアが趣味だからアウトドア商品を企画できるとか、そういうことではないと思いますよ。やっぱり販促品は玄人向けの商品企画をするということではないので。

プライベートでの繋がりで言うと、例えば子どもの運動会を見に行く時は観覧席を絶対一周するんです。そこはレジャーチェアのオンパレードなので。あのブランド品を使ってる、これはホームセンターで売ってるもの、それこそ丸辰の商品を使っていただいてる、みたいな統計を頭の中で何となくとってます。小さいの使ってるなとか、ひじ掛け無しが多いなとか。個人的にそういうのが面白いのもあるんですけど、必ずやってますね。

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やっぱり分析から入るのですね。

そう(笑)分析から入ります。理論付けたいというか。
他にも、家にはステンレスボトルが予備も合わせて4〜5本ありまして、各メーカーのボトルがある中で丸辰の商品もその中に混ざってるんですよ。うちは子どもが3人いるんですけど、どれを誰が使ってもよくて自然と比較がされるような環境にしてあるんです。だからユーザー目線の忖度の無い評価がダイレクトに入ってくるので、それを踏まえて次の商品開発に繋げたりしていますね。
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分析から入るのは元々そういう性格なのでしょうか?

CAMPSでは割と分析から入りましたけど、感覚的な所から入る商品開発もありますよ。でも感覚的に企画して売れた商品って僕の中であんまりなくて。感覚でやってコケたほうが記憶に残ってるだけかもしれないですけど。
CAMPSは良くも悪くも趣味に関連付けられてしまうので、視野が狭くならないようできるだけ俯瞰で見ようとしてます。
好きなモノと商品企画は確かに連動しやすいんですけど、好きだけで進めると大抵コケますね。世の中でアウトドアブームが来てますよって言ったところで、キャンプする人よりも、キッチンに立っている人の方が結局多いわけで。販促品の商品企画はそこを外してはダメだなと思ってます。この感覚は入社後の経験からきてるんでしょうね。

またCAMPSはブランド展開なので少し違ってもくるのですが、あまり考えずにラインナップ増やすと他の商品に迷惑がかかるって思ってるんです。CAMPSってラインナップ自体を家族として捉えているんですよ。その中で結果的に売れていない商品があったとしても、僕の中ではちょっとやんちゃな子がいるな(笑)という感じで、売れてなくても僕の中では愛しい存在というか。

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販促品の企画はなかなか掴みどころが難しそうですね。

それでも割と楽しんでやってますけどね。
入社当初は、販促品は万人が受け取るものだから老若男女に好かれるものを、と言われてそういうものかと思ってたんですけど、正直そんな商品ってなかなか無いんです。そもそも老若男女が集まって販促品を貰うシチュエーションってあるのかなと。若い人が集まる、ご年配の方が集まる、男性がメインで集まる、そういう括りで見て考えた方が結果的にシェアが広がるんじゃないかと今は考えています。もちろん全方位に届けられる商品を企画できれば、それが一番いいんですけど。
丸辰って社歴の浅いうちからいろいろ担当任せてもらう機会が多いのですが、指示で任せてもらう商品って基本的にそんなにコケないんです。類似商品と比べて売れた売れないくらいの話で。なので販促品企画の自分なりのコツが身につくのは、自分発信でチャレンジしてみて、コケたり売れたり繰り返して、なるほどって実感する経験が必要だと思います。
この話で思い出すのが、メーカー品を引っ張ってくるだけの商品と、一から型を起こしたオリジナル商品と、同時に担当した機会がありまして。結果的には前者がかなり売れて後者が全く売れない、となりましたが個人的に思い入れがあるのは後者の商品でした。
でも販促品ってそういうことじゃないんだな、と実感したのが僕のベースになりますね。これ面白いとか、これ新しいとか、そういう主観の理由だけでは売れる前提にならないと思っています。

でも最初から分かるはずもないので、失敗する経験はどうしても必要になります。自分で考え抜いたうえで、結果的に失敗する経験。売れると思って売れるのは記憶にあまり残らなくて、売れると思ったのに何で売れなかったんだろうって、悩んで学ぶ方が多いですね。そういう意味では丸辰ってチャレンジした結果の失敗を、ちゃんと許容してくれるいい環境だなと思います。

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デザイナーの立場で丸辰の環境ってどうですか?

正直、かなり恵まれてると思いますよ。
先ほどと重なりますがチャレンジ精神が尊重される環境ですので。

できればアクティブな人の方が向いてるんじゃないでしょうか、スポーツが好きとかそういうことじゃなくて。映画が好き、アートが好き、新商品が出たら必ずチェックして手に取ってみる、何でもいいんですけど、興味に対してフットワークが軽い方が絶対に良い。あとは商品アイデアを思いついたら一旦紙で作ってみるとか、絵を描いてみるとか、すぐに行動に移せる人の方が良いと思います。僕はそういうアクティブさが好きですね。
あと内に秘めているもの、経験したことをできれば気軽に話してくれるとさらにいいです。その方がすぐに馴染めるし、替えがきかない人になるので。

僕ら部署名としてはデザインチームなんですけど、業務はプランナーに近い部分もあります。ですので他チームとの協働みたいな形になるんですけど、基本的に他チームの皆さんはデザイナーありきで前向きに考えて動いてくれるんです。

だからこそ、丸辰のデザイナーは理論的にしろ感覚的にしろ、これは売れると思う!商品化させたい!ってちゃんと口に出して行動する必要があると思います。もちろん適正価格に落とし込むとか、過去データに基づいた冷静な分析とかも必要にはなるんですけど。
デザイナーの想いを形にするための協力体制が丸辰にはあるんですから、受け身で仕事をするなんてもったいないですよね。

そしてそこまでやり切った結果売れる商品になったとしたら、その売り上げはある意味自分の能力を完全に評価してもらえた、という喜びにつながると思います。そういう経験って、実は丸辰だからこそ得られるものかもしれませんね。

ありがとうございました。

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ひとりひとりの声から、チーム丸辰のことをより知っていただければと思います。

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